【前編】 【中編】 子供の頃に撮った写真。そこに写っているセピア色の風景や屈託のない笑顔とはまったく違う姿を見せている鈴鹿サーキットと僕。40年の歳月がいろいろなものを変えていく。時間という生き物はそんな僕らの人生をも変化させていくのだ。そんなファーストインパクトだった。 実に30年ぶりくらいに会う幼馴染はすぐに分かった。大人の世界に染まってはいるが僕らの風貌は何ひとつ変わっていなかった。ここから午後の予選が始まるのと併せて午前中の結果によって多少ピリピリとした空気感ではあったが、その状況すら楽しんでいるかのようだ。 15時。もうすぐ予選走行となるため僕らはスタンドへと向かった。ピットで観戦してもという幼馴染のアドヴァイスだったが、部外者ましてや車音痴の僕がそこにいる資格はない。地下道を通り向こう正面(というのか)のスタンド上部まで登り、そこで観戦することにした。 予選走行が始まった。 ・・・誰が誰だか分からない。速すぎてついていけない。57番とだけは聞いているので探・・・せるわけない。そうか、色だ。色を探せば良いのだ。僕は黄色のバイクを必死で見つけようと努力する。見つけた。あのバイクだ。と、眼の前にきて1秒も滞在しないまま過ぎ去る。 夕刻に近づくに連れてそんな時間が次々と訪れては消えていく。あの歌のあの歌詞では無いのだが僕は徐々に途方に暮れていく。スピード感は確かに受け止めた。しかしながら僕の類まれなる動体視力の低さのため、楽しむどころか何とも言えない空気を味わっていたのだった。 その空気は決して悪い意味では無い。車音痴の僕が吸うべきもののような気がしたのだ。そんな機会をアミーゴからもらえたことに感謝しているのだ。幼馴染に再会できたことに感謝しているのだ。僕は実に恵まれている。それが分かっただけでもこの旅には意味が存在するのだ。 新たなアミーゴも増え、決して美味いものばかり食えたわけではないが夜の楽しい時間も過ごせた。そんな幸せなときは台風の到来とともに形が変わっていった。すべてがハッピーエンドでは無かったがバッドエンドというには惜しすぎる。そんな中途半端が僕にはお似合いだな。 NEVER STOP,NEVER GIVE UP
dobroサッカーショップ蹴球堂オーナーの憂鬱。この狭い世の中を適当に歩きながら、セレッソファン、サポーターに勇気を届けたいと思います。どうぞよろしくお願いします。